【中国留学日記】

【留学中の中国語生徒さんの紹介】

 

生徒さん:戸村 さん

 

新高中国語学習歴:1年以上~

 

テキスト:漢語口語速成「基礎編」

 

コース: 週3回

 

留学先:中国 吉林省 長春市

学校名:東北師範大学


現地からの【留学日記】をお届けします。


ケンカして分かれてしまった男の人が、ある時突然「いろいろケンカしてきたけど、やっぱりあの女よかったなぁ・・・」ってしみじみ思うのは二人の間にほどよい距離が生まれてからだと思う。

おそらく僕も中国を離れた後、ここでの生活を思い起こしてこれに似た感情が沸くと思います。

ある比較的大きい規模のスーパーの調味料売り場には暇そうな店員があくびをしながら時間を持て余していた。僕は探していたものが見つからないのでその店員に尋ねてみた。店員の話す言葉をまだ完全に聞き取れないものの、身振り手振りの熱心な説明は言語の壁を軽く飛び越えられた。探し物はオイスターソースでもなければトマトケチャップでもなかったけれど、中国でホスピタリティー精神を見つけられた。探していたものよりずっと大事なものを見つけられた気がした。

 本当はその暇そうな店員ともうしばらく時間を共有したかったけど、自分の身の丈をとっさに考えてしまってもう一言を言う勇気が出てこなかった。僕は黙って目配せすると静かにその場を去った。スーパーの床はピカピカに輝いていたが、裏腹に僕の心の中はくすみがかっている。歩調は心なしか早くなっている。中国語を聞き取れなかった悔しさが更に歩調を速める。

 何故聞き取れないのかを自問自答してみると答えはすぐに頭に浮かぶ、わかっちゃいるけどできない。一定の結末を向かえる弁証法が何度も自責の念に向かう。 

 太陽が長春市のシンボルタワーである電視塔と重なりそうなぐらい傾いたとき、宿舎の管理人のおじさんと中国将棋を指すようになったのは、こっちに来てからすぐのことだ。駒の動きはさほど難しくないが、僕はいまだにおじさんに勝ったことが無い。おじさんは生まれも育ちも長春で訛りがある。それに声がノイズの混じったラジオみたいに聞こえにくい。管理人のおじさんに限らず中国のおじさんの声は外国人からしてみれば聞こえにくい声をしていて、教科書のとてもきれいな標準語の発音で勉強してきたわれわれ外国人は聞き取れないのが当たり前なんだろうか。それでもぼくは敢えておじさんと将棋を指すようになった。もはや目的は将棋ではなく訛りの入った言葉を聞き取るためになっている。きっとタバコの煙とアルコール分が燃えるほど高い中国の蒸留酒がおじさんの声を変えていったのだろう。僕はタバコも蒸留酒も渋い声も嫌いではないが、ある意味、僕の悩みである。この教科書にない生の中国を十分に理解するにはあとどのくらい時間がかかるだろうか?これら悩みは僕の頭を占領して時に憂鬱な気分に陥れ、また一日たりとも解放してはくれない。

 大学に来てからほぼ毎日を勉強に費やして屈託の無い華やかさもない生活を送ってきているが、

 縁には恵まれていると思う。クラスメートのアメリカ人とは仲良くさせてもらっている。彼とはなんとなく考えが合う。そういう人と巡り会えたのは人生の貴重な収穫だと思う。

【新高中国語からのメッセージ】


戸村さん、留学日記ありがとうございます。

中国で、訛りの入った言葉が聞き取れるように、いろいろと頑張っていますね。

この一年間大変かもしれませんが、一年後の戸村さんに会いたいです。

戻ってきたら、また新高中国語へ遊びに来てくださいね。

 

留学した後中国語再開


留学4年後、戸村さんより、このような連絡があり、新高中国語での中国語レッスン再開しました。

お久しぶりです。お元気ですか?

34年ぐらい前にお世話になりました戸村です。

長らく連絡もせず申し訳ありません。

 

先生の助言にとても感謝しています。

おかげさまで長春留学はとても有意義なものになりました。

現地での新鮮な経験を味わえましたし、たくさんの友人にも巡り会えました。

またメディアが伝えるものとは違った側面の中国中国人の姿を知ることができました。

どれもこれも先生あっての事だなと思うと本当に感謝しています。

 

これから留学で得た知識経験をもとに私も仕事で役立てたいと思っています。

もし先生の都合さえよければ、もう一度先生から中国語や中国の生活文化 ビジネス関係などを教えていただきたいと思っています。

戸村 (様)より